カーストについて

 最近よく週末一緒に飯を食いに行ったりする友人(及びその家族)、と昼飯を食った際、カーストの話しが出た。このカーストの話はもともとはちょいと前に先輩が紛失したカメラの保障を請求するため、本日そのポリスレポートとやらをとりに行くという話に始まる。
 このインドにおいては、実のところ警察があまり市民によく思われていないという背景がある。いつぞや見た幾つかのインドの風刺漫画にも、警察をおちょくる内容のものを何度も目にするほどだ(幸いなことに日本では某県警を除けばあまり目にしない気がする)。実際、こういう場合、ほぼ間違いなく賄賂を要求されるとのこと。 ここから、一体どういうヤツ等が警察になっているんだ?と思い、「インドで警察の職につくのは難しいのか?」という問いを投げたところ、留保制度(Reservation)など、長らくもカーストと職業について話をすることとなった。
 さて、ところで、ポリスレポートであるが、わざわざ親父が出動してくれたおかげで、案外もすんなりと、不思議なことに賄賂すら要求されずに手に入れることができたのだが、その際、話を上手いことまとめたのも彼のカーストがブラフミンすなわち最上位カーストであることが影響していたようだ。
 で、多少なりともカーストというものに興味を持ったオレは、ホテルに帰った後、軽くネットで調べてみた。
(以下「http://blhrri.org/kokusai/un/un_0020.htm」のまとめのような内容となりますので原文を読んだ方が判りいいかもしれませんね)
 カーストは言うまでも無くヒンドゥー教身分制度のことである。人口の約82%がヒンドゥー教であり、また、残りの宗教(イスラムとかスィクとかキリストとか)の大くもまたもとヒンドゥーからの改宗者であるという事実からもインドでは非常に影響の大きい制度である。さて、何故このカーストが生まれたか、という話にまず焦点を当てよう。
 ストーリは昔々、インド亜大陸において、ドラヴィダ系原住民によって作られたインダス文明、これがが崩壊したころ、アーリア系騎馬民族が北部から攻めてきたことに始まる。アーリア騎馬民族はインド北部を制圧し次第にドラヴィダ系に代表される原住民を南部へと追いやった。もともとバラモン教であった彼らアーリア人は彼らの血が純潔であることを保つため人為的にヴァルナと呼ばれる身分制度を作成、同一身分同士でのみの結婚を許可するよう強制したのである。非常に興味深いのがこのヴァルナ、もとの意は「色」であるということ。ドラヴィダを代表する原住民の肌が黒色、アーリア人が白色であることからも、これが混血を避けるために作成された差別制度であることが見て取れる。比較的肌の色に無頓着な、イエローモンキーな僕たちジャップにしてみれば正直、「 こ こ で も か よ 」といった感じ。。さて、これが紀元前15年といったところで、このバラモン教が後3世紀に転じヒンドゥーカーストと姿を変えるのである。
 カーストの由来に焦点を当ててみたら大体書きたいこと終わっちゃったぞ。というかどちらかというと由来の方が興味あってさ…。ええっと、さて、今日におけるカーストについてであるが、1950年に設立されたインド憲法が非常に大きな動きといえる。これは不可触民制の廃止ということで前述の原住民を中心とした下位カーストカースト外に対する差別をなくそうという制度である。興味深い点だけかくとするならば、この文頭の方でチラと出てきた留保制度というものがある。これは教育・就職・議会でこの被差別民ら用に特別枠を設けるというものである。初めっから机上の奇麗事で差別問題が無くならない、ということで、微妙に諦め感漂う、というか、現実的な制度であると感心した。もっともつい最近、医学系の学校で、上位カースト用の枠(というものあるらしい)を広げようとして揉め事になってたっけか?
 以上、書きたいことを書かせてもらったが、何人のジェントルマンが最後まで読んだことやら…。ま、イロイロ書いたけど、本人らの話からもカーストってのはかなり根強くこのインド残ってますよ、と。

追伸:
全然テロについて触れてませんが、ごめんなさい、ニュースとか見てないもので…。