街へ行ってきた

マーケットの風景(出口あたり)

 街へ行ってきた。
 タクシーに揺られ、大通りの交差点にて降りる。思ったほどヤバい雰囲気でもないが、やはり信号があって無いような雰囲気は変わらない。というか、錆びて根元からぶっ倒れた信号機が目の前に転がってる気がしてならない。そう、勘違いしてもらっちゃ困るのが、ぶっ倒れてるのが問題なんじゃなくて、街周辺に来るまで、ひとっつも信号が無かったという事実。交通状態は、まあ、予想してほしい。人は好き放題横断し、割り込み追い抜きが出来ないようタクシーもリクシャーもぎゅうぎゅうに詰まるし…。之はそこそこのスキルが無いと運転なんざ出来たモノではない。スキルに自身のある貴方、インドでドライブなんてどうですかね?
 さて、街(M.G.ロード)にて、比較的横幅の大きい先輩はやはり金持ちに見えるのか、いや、恰幅じゃなくて着てる服か? とにかく、早速も小さな子供に食いつかれていたが、あれが噂の最後に「バクシーシ」と金をせびられる子供のガイドってヤツか、などとちょっと離れた後ろから眺めていた。そのほかにも、木でできた蛇や小さなチェスセット、地図など、子供が商品を売り歩く姿は幾度と見かける。向こうも慣れているのか放っておくと潔く去ってゆくので、そういうのが苦手という人もまあ、其処は安心してほしい。
 昼飯にサンドウィッチを食い、特に目的地も無かったのでブラブラ歩く。でも之といって面白いものも見当たらない。逆に言うと、面白いものこそ少ないものの、服や電子機器もここなら手に入るし、ここへさえたどり着けば、手ぶらへインドへ来ても何とかなるやも知れない。非常に近代的臭の漂う場所だ。さて容赦なく照りつける太陽は日本と比べてカラッとしており、そこまで苦痛ではないものの、暑いものは暑い。T-シャツで来たのは正解だが黒いのをチョイスしたのは失敗だ。ともかく場所を移そうと、タクシーへ再び乗り込み、CityMarketを目指す。ここはいうならば下町といった雰囲気の場所。らしい。
 だがタクシーは我らの意思とは別の目的地を目指す。そしてよく判らん絨毯(じゅうたん)屋へ吸い込まれてゆく我ら。つまるところ、タクシーの運ちゃんがマージンをもらうための行動なのだろう。まあ、結局誰も何も買わなかった。というか、何だ、あの50[hundered $」という法外な代金。明らかにボッタくっているだろうが、
 ようやくタクシーは目的地へ僕らを運んでくれたようで、やたら人の多い場所へ到着。いよいよインド本番だなというか何というか、この鼻につんと来るアンモニア臭も、警戒を怠る事なかれ といった言葉を脳裏に横切らせてくれる。
 このマーケットではよく、牛車を見かける。……って、ちょっとまて。アンタ等 牛を神と祭ってるんじゃないのか? あああ、普通に牛に鞭打ってるよ。痩せた牛に之でもかという程の荷物を引かせるその姿は、神とかそういうものは一切感じさせない。
 ゴミゴミとした雰囲気に気圧されて、写真を撮るのもままならない。というよりここでカメラを出したら盗(ヤ)られると、完全にビビりだ。情けない。
 段々とこの辺から先輩がたも疲れがたまってきているのが見て取れる。若人の強みだろうか、私はまだまだいける勢いだ。と、ここにて撤退組みと歩いてM.G.ロードへ戻る組みとで二手に分かれるが、オレが歩く組みを選んだのはいうまでも無い。
 売店の店員に道を聞き、歩き始める。ゴミゴミとした感じのいつもの風景に、ときおり、貧しい人達の集合住宅地のようなものも見かける。たいていは鼻を突く強烈な臭いがして、トタン屋根の灰色に染まった風景は、改めてインドの貧富の差というものを感じさせてくれる。そうこうしているうちに特に迷うことも無く(三叉路には立ち止まってちょっと考えさせられたが)、M.G.ロードへたどり着いた。ここでまた少し買い物をした後、リクシャーにてホテルへ戻る。200ルピーとまだ微妙にぼったくられてる感はするものの、もはや精根尽き果てた我らは交渉する気も起こらない。そして運転手(リクシャーワーラー)はそっと料金メータの電源を切ったのだった。
 リクシャーには左右に窓が無いため、遠慮無しに排気ガスがガンガン飛び込んでくる。そしてこのトラフィック。喉がヤバそうだ…。うおいっ、運転手タバコ吸い出したぞ! ホテルに到着して、降りる際には250を請求されたがさすがにそれは払わない。とはいえ220まで払ってしまった我等。乗る前の料金交渉はもちろん必要だが、それを書き留めておくのがさらに安全なのかもしれない。いや、書いてても250請求したか…。
 夕食を食った後、街で買ってきた酒を飲みつつ、私の持ってきていたカードゲーム「操り人形」をプレイ。ゲームの概要については興味のある方は適当に検索をかけてもらいたい。書くのが面倒だ。どうもこのゲームにおいて、オレは目立ちすぎるらしく、最初はよくても後半でライバルたちに蹴落とされることが多い。2,2,3位というパッとしない順位で勝負を終えたが、他の人たちはそこそこ楽しんでもらえたようで、よかった、よかった。